神栖の黒宝・ヤマトシジミとは?
『神栖の黒宝』とネーミングされた神栖市産のヤマトシジミをご存じですか?
2022年から神栖市のふるさと納税返礼品となっている利根川産のヤマトシジミは、大きさが普通のシジミと比べて非常に大粒です。
利根川で大切に育てられたシジミは、黒く輝く3cm以上の大粒な成貝となります。
淡水と海水が混じる汽水域である利根川下流域において、平成初期まで日本一の漁獲量を誇っていたヤマトシジミ。
そのヤマトシジミの復活に26年間奮闘する、常陸川漁業協同組合の多田悦章さんにお話を聞きました。
Q.昔はヤマトシジミが獲れていたのでしょうか?

A.1995~1996年ごろまでは比較的獲れていました。
1日に1人あたり600kgものシジミが獲れていた時期もありました。
それゆえに密漁者も多く、連日ワイドショーで取り上げられたこともありました。
Q.1日に1人あたり600kgも獲れていた時期があるんですね!
いつごろからシジミが獲れなくなってしまったのでしょうか?

A.1999年ごろでしょうか…
本当に獲れなくなってしまい、2000年に漁獲高がゼロになってしまいました。
Q.なぜシジミが獲れなくなってしまったのですか?

A.気候変動のほか、洪水・塩害対策のための整備による影響もあり、水質・底質に変化があったことが大きいと思います。
全くシジミが獲れなくなってしまった2000年に、漁師たちみんなで稚貝を放流し、シジミが獲れることを祈りながら3年間成長を待ちましたが、成果が得られませんでした。
Q.放流した稚貝が育たなかった理由は?

A.環境の変化による酸素欠乏や下流域の塩分濃度の変化、川の底質(泥)の悪化なども原因でしたが、コイなどに掘り起こされて稚貝が食べられてしまっていることが分かりました。
シジミを復活させようと3年間頑張りましたが、成果が得られなかったので、どんどん漁から離脱する漁師が増えてしまいました。
現在は県や市などからのバックアップを受けて、復活への取り組みを続けています。
Q.昔から漁を続けてこられた同業者が減ってしまってもヤマトシジミを復活させようと尽力された原動力は?

A.昔のようにヤマトシジミが獲れるようになって、活気が戻ってほしいというのが一番の願いでした。
ヤマトシジミが獲れなくなってから、どんどん底質(泥)が悪化し、環境が悪くなったのを感じたので、川の浄化、川底の泥を改善させることも目標でした。
環境改善の手助けをするヤマトシジミが復活し、昔ほどではなくても、少しでも獲れるようになればと強く思っています。
Q.2022年からふるさと納税の返礼品となりましたが、いつごろから復活の手ごたえを感じましたか?

A.2017年ごろ、稚貝の放流方法を変えてみたところ、2018年には、とても良い成果が出ました。
様々な人の協力を得ながらその手法を継続し、量は限られていますが、これなら(ふるさと納税の返礼品として)出せるという形になりました。
Q.復活の兆しが見えた時はどういう気持ちでしたか?

A.とてもうれしかったです。
続けてきて良かったと安堵しました。
獲れるようになってからは、当時からの漁師仲間も喜んでくれて、前よりも一層協力してくれるようになり、とても感謝しています。
Q.ふるさと納税の返礼品としても根強い人気がある「神栖の黒宝」。旬はありますか?

A.「土用シジミ」と呼ばれる6~7月に獲れるシジミは、身が詰まってプリプリとして特においしいです。
毎年その時期を狙ってふるさと納税を申し込んでいただいている方もいます。
Q.おすすめの食べ方は?

A.うちではよく酒蒸しで食べます。
酒蒸しといえばハマグリやアサリのイメージですが、うちのヤマトシジミは大粒なので、酒蒸しもおいしく食べられます。
Q.今後の目標などはありますか?

A.2025年は異常気象が続いたのと、雨もそこまで降らなかったことから、水の塩分濃度があがってしまい、残念ながら納得のいく品質にはならず、ふるさと納税の返礼品として出すことができませんでした。
来年以降、さらに改良を重ね、より品質の良いヤマトシジミを育てていきたいです。
ヤマトシジミがまた神栖市の特産品となること、そして利根川の底質・水質をより良くすることを目標に、体が動く限り頑張りたいです。










コメント