幸せを運んでくるといわれるコウノトリ。
コウノトリは、羽を広げると2メートルにもなる大型の水鳥で、希少であることから国の特別天然記念物にも指定されています。
かつては日本各地で見られましたが、乱獲や環境の悪化により、国内の野生のコウノトリは1971年に絶滅してしまいます。
その後、1980年代後半に国内で人工繁殖に成功し、2005年には兵庫県立コウノトリの郷公園が野外への放鳥を始め、コウノトリの野生復帰が実現しました。
そんなコウノトリが近年、神栖市で自然繁殖しています。
昨年、神栖市で4羽のコウノトリが巣立ちました。茨城県内でコウノトリが巣立つのは、コウノトリの郷公園での放鳥開始後は初めてだったといわれています。
今年も4月に6羽のヒナが誕生し、足環(あしわ)つけがおこなわれました。
足環とは?
足環とは、コウノトリの個体識別のために、足につける輪っかです。
コウノトリは、見た目では雌雄の区別もつきませんが、左右の足につけている輪っかの色の組み合わせなどで、コウノトリに割り当てられている識別番号が分かるようになっています。
この識別番号により、性別や、いつどこで生まれたか、親が誰なのかなどをすぐに調べることができます。
ヒナに足環を装着!
生後43日前後のヒナに足環をつけます。
神栖市では、5月21日に矢田部地区、6月5日に太田地区で、計6羽のヒナに足環をつけました。
当日は、神栖市環境課をはじめ、兵庫県立コウノトリの郷公園や埼玉県こども動物自然公園などの獣医師さん、波崎愛鳥会のみなさんなど、20名以上の関係者が駆けつけました。
足環つけ作業は、高所作業車に乗って巣に近づき、目隠しをしたヒナを地上に降ろしてからおこないます。
地上に降ろしたあとは、テントの日陰で足環をつけ、体重測定をし、DNA鑑定のために血液と羽毛を採取します。
このあと実施するDNA鑑定によって、性別などが判明します。
とっても元気に育っていたヒナたち。
作業後はヒナを巣に戻し、親鳥が巣に戻るまで見守りました。
なぜ神栖市にコウノトリが来るの?
野鳥の見守りや保護などをしている波崎愛鳥会の会長 柳堀さんによると、2011年には神栖市内でコウノトリが目撃されていたそうです。
2005年の兵庫県豊岡市でのたった5羽の放鳥開始から、かなり早い段階で神栖市に飛来しています。
コウノトリの郷公園 主任研究員の布野先生によると、コウノトリは全国各地を一通りまわってから繁殖地を決めるとのこと。
足環つけの時に、大きく元気に育ったヒナたちを見て、「すごく大きいですね。おいしいごはんがたくさんあるんですね」と驚いていました。
コウノトリが選ぶまちは、エサとなる魚やカエルなどの多様な生物でにぎわう、人にとっても安心して生活できる自然豊かな環境です。
環境課の伊東さんは「コウノトリにも好んで来てもらっているこの自然豊かな環境を守っていきたい」と話します。
コウノトリと共生していける環境づくりを心がけることが、わたしたちの幸せにつながるのかもしれません。
※コウノトリは、警戒心が強い鳥です。コウノトリを見るときは150メートル以上離れ、温かく見守りましょう。
かみす放送局で放送されました
エフエムかしま(76.7MHz)のラジオ番組「かみす放送局」で足環つけの様子が放送されました。
コウノトリの郷公園 主任研究員の松本令以さん、波崎愛鳥会 副会長・事務局長の阿部正行さん、神栖市環境課の伊東さんにインタビューもしています。ぜひお聴きください!
広報かみすでも特集されました
広報かみす2024年9月1・15日号で、神栖市とコウノトリの関わりや保護活動について紹介されています。
ぜひご覧ください。