2024年6月1日(土曜日)・2日(日曜日)の2日間「水上スキー学連チャンピオンシリーズ(Game1)神栖大会」が開催されました。
学生水上スキーのシーズン1試合目となるこの大会。9月に行われるインカレ(全日本学生水上スキー選手権大会)に向けたトライアル的な意味合いがあり、ライバル校の力量をはかる上でも重要な大会となっています。
会場となったのは、逆水門から約1.7km上流の常陸利根川(神栖市横瀬地内)です。川岸にはたくさんの大学生とそのOB・OG、そして応援に訪れた人々が選手に声援を送っていました。
より高みを目指して!学生たちの水上の戦い
水上スキーはモーターボートに曳航されながらボード(板状の滑走具)に乗り水面を滑るウォータースポーツで、「トリック」「スラローム」「ジャンプ」の3つの種目があります。
今大会では全日本学生水上スキー連盟に加盟する国内10の大学(加盟校9校+準加盟校1校)から112名の選手が参加し、日ごろの練習の成果を競い合いました。学生たちの力強いパフォーマンスは見ごたえ十分!
多彩な技とその正確性を競う「トリック」
1枚板あるいは2枚板を履いて、往路・復路それぞれ20秒の間に技をおこないます。回転したりロープに片足をかけたりと技の種類は豊富で、その難易度に応じた得点の合計を競います。上位者にはフリップ技(宙返り)をおこなう選手も。往復40秒の中にどのような技を入れるかが、戦略として非常に重要となります。
スピード感抜群!立ち上がる水しぶきが映える「スラローム」
左右交互に浮いている6つのブイの外側を、1枚板でターンする競技です。すべてのブイをクリアすると徐々にスピードが上がり、最高速度は男子が58km/h、女子が55km/hにもなります。体力はもちろん基礎的な技術力も問われる、もっともポピュラーな種目です。
スリリングかつ迫力満点!水上スキーの花形「ジャンプ」
水上に設置されたジャンプ台に加速しながら侵入してジャンプし、3回の試技の中での最長飛距離を競います。長い助走で大きく回り込み、振り子の原理でスピードを付けて侵入すると、70km~80kmの速さでジャンプ台に入っていくことも。トップクラスの選手になると40m級の飛距離を叩き出し、間近で見るその光景は圧巻です。
あなたにとって水上スキーとは?大学生にインタビュー!
学生たちを代表し、ご自身も2種目でエントリーした全日本学生水上スキー連盟・幹事長の殿岡公介さん(早稲田大学4年)にお話を伺いました。
――水上スキーを始めたのはいつから?
大学に入ってからです。それまで水上スキーを見たこともなかったのですが、マイナースポーツだからこそ努力次第で上位を目指せると先輩から聞いて、やってみたいと思いました。
――日頃どのような練習をしているのですか?
水上の練習は1回15分くらいの短い練習になります。それくらい体力の消耗が激しいスポーツです。15分の中でより良いパフォーマンスを発揮するため、陸上ではロープを持って水上に見立てた練習やトレーニングもおこないます。
――水上スキーの難しいところは?
水面の状況や天候に左右されるのが難しいところです。細かい状況でパフォーマンスが変わるので、(同じチームの)前に滑った選手から水面の情報をもらったりします。とても繊細なスポーツだと思います。
――神栖市の印象はいかがですか?
毎週土日にこの場所で練習をしているのですが、神栖市では人の良さを感じることが多いです。(大会に協力している)MGマリーン鹿島の皆さんも良くしてくれますし、近所のお店に食事に行くと大学生の私たちを歓迎してくれる雰囲気があります。
――水上スキーの魅力とは?
最初は水の上に立つのも困難ですが、練習を重ねてどんどん出来ることが増えていく中で、自分の成長を感じられるスポーツです。初めて技が出来たりスピードをクリアしたりした時の、達成の瞬間はたまらないです!ぜひ一度、水上スキーがどんなスポーツなのか見てもらって、水の上の疾走感を感じてください。
学生スポーツならではの若々しい雰囲気に包まれる会場。
仲間たちの力強い声援と、それに応える選手たち。一丸となって優勝を目指す姿は、個人競技でありながら「チーム」としての一体感を強く感じさせるものでした。
長きにわたり繋がりがある水上スキーと神栖市
大学の水上スキー部では、大会の運営やボートの維持管理など、OB・OGが大きな支えとなっています。
今回の取材で水上スキーについていろいろと教えてくださったのは、大学の水上スキー部OBで、全日本学生水上スキー連盟事務局の皆さんです。
――常陸利根川では、いつ頃から水上スキーの大会がおこなわれてきたのでしょうか?
この場所は、大学水上スキー部創設初期(60年ほど前)から練習場として利用されています。大会としては「学連チャンピオンシリーズ」のほか、1984年から3年連続で「全日本学生水上スキー選手権(インカレ)」の大会会場にもなりました。
私たちも学生の頃はここで練習や大会をおこなっていて、神栖市は馴染みがある場所です。
――常陸利根川で水上スキーの大会がおこなわれるのはなぜですか?
まず、船の上げ下ろしやメンテナンスができるマリーナがあること。
常陸利根川は流れが緩やかで、川幅にも適度な広さがあります。逆水門が閉まっている時は(無風の時は)水面が静止しますし、川岸に群生しているアシは波を消すのに役立ちます。
競技をおこなうにもコースを設営するにも、ここは水上スキーにとって良い条件がそろっているんです。
――水上スキーの魅力はどのような点だと思いますか?
何といっても水の上をスピードに乗って滑る非日常感。ある程度の技術は必要ですが、その一線を越えた時の楽しさは格別です。
(学生に限って言えば)ほとんどの子が大学入学から始めるので、学生大会で上位が狙えるのもアピールポイントですね。
――水上スキーの今後についてお聞かせください。
水上スキーの歴史は長く、1956年に第1回目の全日本学生水上スキー選手権がおこなわれました。しかし競技人口でいえばマイナーなスポーツ。
学生たちは動画やSNSで水上スキーの魅力をアピールするなど、部員の勧誘を頑張ってくれています。私たちOBも、そんな学生たちを様々な面でサポートしていきたいと思います。
今後は、水上スキーに親しめる場所がもっと多くなればと思いますね。
耶馬渓ダム湖(大分県中津市)には全国初の公営水上スキー施設があります。ここでは水上レジャーを楽しめるほか、小学生からクラブでの育成にも力を入れていて、世界で戦える選手も育ってきました。
ここ神栖市では、長年水上スキーをおこなってきた実績があります。これからも水上スキーが流域の利活用や地域振興につながれば良いですね。まずは大会を通して、多くの人に水上スキーを見て知ってもらいたいです。
7月には「学連チャンピオンシリーズ」のGame2が、ここ神栖市で開催されます。観覧は自由ですので、興味のある方はぜひ足をお運びください。
水上スキー学連チャンピオンシリーズ(Game2)神栖大会
開催日 2024年7月6日(土)・7日(日)
場所 常陸利根川 逆水門近く(神栖市横瀬地内)
駐車場 横瀬公民館(神栖市横瀬791-26)
詳細 JWWF ホームページ
全日本学生水上スキー連盟 X
※観覧の際は選手やスタッフの妨げにならないようご注意ください。
※私有地への無断駐車や路上駐車は周辺住民のご迷惑となりますのでおやめください。
※MGマリーン鹿島に直接問い合わせることのないようお願いします。
西川さんは、32年前に水上スキーで広報かみすの表紙を飾っています。神栖市と水上スキーの関わりの深さがわかるエピソードの一つですね。
川や海に面した神栖市。ウォータースポーツの盛り上がりに今後も期待です。
広報かみすで特集されました
広報かみす2024年7月1日号で、水上スキーの魅力や競技の見どころが紹介されています。
ぜひご覧ください!