マンホールとは、地下に埋設されている下水管や通信ケーブル管などの、点検や修繕を行うために設けられている出入口のこと。そこにはさまざまなデザインのマンホール蓋(以下、マンホール)が設置されています。
デザインマンホールは、かねてから著名人をはじめ多くの人に注目されており、SNSの普及でその人気は爆発的に広がりました。全国各地の自治体では趣向を凝らした「ご当地マンホール」が展開され、その多彩なデザインに魅せられた「マンホーラー」「蓋女(フタジョ)」といった言葉も生まれました。
神栖市内のデザインマンホール
神栖市には現在4種類のデザインマンホールがあります。
こちらは旧波崎町の、町の花・木・鳥をあらわしたデザインマンホールです。海を背景に、センリョウ・マツ・カモメがデザインされています。神栖市商工会波崎支所前の歩道に設置されています。
こちらは旧神栖町のマンホールで、鹿島港をデザインしたもの。タンカーや石油タンク、平成物産パーク港公園展望塔といった「鹿島臨海工業地帯」の風景がデザインされています。神之池緑地の遊歩道に設置されています。
こちらは市町村合併で神栖市となってから設置されたデザインマンホールです。旧神栖町の平成物産パーク港公園展望塔と工場、旧波崎町のマツとカモメ、そして神栖市を代表する風景の一つでもある風力発電施設の風車がデザインされています。神之池緑地の遊歩道や神栖市商工会波崎支所前の歩道に設置されています。
安全性 × デザイン性にこだわった「カミスココくんマンホール」
そして、こちらが令和3年以降に設置されたデザインマンホール。ワンポイントのカミスココくんが目をひきます。
カミスココくんは、2015年に生まれた神栖市のイメージキャラクター。2016年・2017年にはゆるキャラ®グランプリに参戦(2017年は7位と大健闘)するなど、神栖市の知名度を上げるために日々奮闘しています。
神栖市下水道課の皆さんに、神栖市内のマンホールや、カミスココくんマンホールが作られた経緯などについてお話をうかがいました。
――― 神栖市にはいくつくらいのマンホールがあるのでしょうか?
下水道課の所有するものだけでも、雨水マンホールで53基、汚水マンホールでは8,025基あります。(令和4年度末現在)
滑らないように表面に凹凸をつけた耐スリップ型で、よく見ると、雨水マンホールは空気を逃すための穴が開いており、汚水マンホールは雨水の侵入や臭気が漏れるのを防止するため穴が開いていません。
――― カミスココくんマンホールを作ろうと思ったきっかけは?
カミスココくんが神栖市の知名度を上げるために頑張っている中で、「われわれ下水道課としても一肌脱ごうじゃないか!」とカミスココくんのマンホールを作ることにしました。
当時、マンホーラーやマンホールカードが注目され、社会の中で目にふれる機会の少ないマンホールに焦点が当たる機会が増えていました。新しい「神栖市のデザインマンホール」を作る絶好のタイミングでもあったんです。
――― 他自治体のデザインマンホールは、絵やキャラクターが全体にデザインされたものが多いです。それに対し、カミスココくんマンホールはとてもシンプルなデザインです。なぜこのようなデザインに?
全体に絵やキャラクターがデザインされたマンホールは確かに目をひきますが、どうしても耐スリップ性能が劣ってしまいます。そうなると車道への設置が難しい。安全性を確保するためにも、耐スリップ性能を保ったまま他のマンホールと一線を画すデザインにこだわりました。
そうして出来たのが、全面に耐スリップ模様を施し、中央に神栖市市章、そしてカミスココくんをワンポイントデザインとして配置した、「カミスココくんマンホール」です。
――― カミスココくんマンホールへの反響はいかがでしたか?
昨年、茨城県庁でおこなわれた『茨城県・マンホール蓋展2023』では、デザインマンホール人気投票で堂々2位(中間発表では1位!)を獲得しました。
カラフルで凝ったデザインのマンホールが多い中で、逆に目をひくデザインだったこと、そして安全性にも配慮した思いが皆様に伝わった結果だと思います。
『茨城県・マンホール蓋展2023』の様子はこちら
――― 市内ではどこでカミスココくんマンホールを見ることができますか?
市内の設置は、車道へ設置するモノクロが2地区(筒井地区・土合西地区)、歩道へ設置するカラーは3枚のみ(芝崎地区・土合中央地区・かみす防災アリーナ前)となっています。
まだ数が少ないので、カミスココくんマンホールを見つけたらラッキーですね。マンホールを探す際は、車道や歩道に設置されているものについては、くれぐれも安全に注意し近隣の方のご迷惑にならないようご配慮ください。
また、市役所分庁舎1階の下水道課でもカラーマンホールを展示しています。お越しの際はぜひお声がけください。
―――今後、カミスココくんマンホールは増えていくのでしょうか?
現在、汚水管渠や雨水管渠の新設・延伸を行っています。また、耐用年数が過ぎた古いマンホールも順次交換していく必要があります。これらの場所でカミスココくんマンホールが増えていく予定です。
※管渠(かんきょ)・・・給水・排水を目的として作られる水路全体の総称
マンホールの向こう側には、いつも地下で人知れず頑張っている下水道が走っています。下水道は人々の生活を支える重要なインフラです。マンホールを通して、下水道にもっと興味を持ってもらえたら嬉しいですね。
下水道PRにも一役買うデザインマンホール。ぜひ注目してみてください。